教育
学部教育

本学のコアカリキュラムを基本とした6年一貫らせん型カリキュラムは臨床と基礎医学・人文科学をリンクさせた非常に優れたカリキュラムです。臨床実習を通じて、小児がんの子供の心理やそれらを抱えた家族の苦悩など、病態を学ぶ以前に感じるべき基本的なプロセスを学ぶことを重視し。臨床実習と密着した座学の充実に加え、病気に罹患することで生じる心身の問題、小児がんに特有な晩期合併症、社会的問題(教育、就労、妊孕性など)などについても提示し、グローバルな知見と国のがん対策計画に沿った包括的かつ丁寧な教育を心がけていきたいと思います。
卒後教育

近年、臨床現場ではコミュニケーション不足に起因するインシデント、医療事故、訴訟が後をたちません。医療におけるコミュニケーション能力を明確なプログラムや到達目標として設定することは困難ですが、信頼関係を形成し、患者の立場を理解できる医師を育てることこそがコミュニケーションの充実につながると考えております。そのため、患者会、親の会への参加、患者家族宿泊施設でのボランティア活動などを通じた家族との対話に臨み、患者や患者家族が必要としていること、医療システムの改善点などについて実感頂くような教育プログラムを考えています。
このような体験を経ることで、臨床現場で常に発生する問題の分析と解決能力、コミュニケーション能力、さらには医療者としての人間的資質を養い、Pediatric Tumor boardなどを通じ、多職種による水平的連携下での治療方針決定の重要性についても学んで頂きます。症例数と疾患多様性は非常に豊富で、当院のみでも専門医取得に十分な研修が可能です。
研究
小児固形腫瘍領域
現在、佐野は日本小児がん研究グループ(JCCG)の第Ⅱ相臨床試験の代表を務めており、次期試験においても中心的な立場で関わっていく予定です。また、当院の核医学と協同し、国内代表医師として中枢神経再発神経芽腫に対する放射線抗体療法の国際共同治験(Y-mabs101研究)にも参加しました。また、α線核種であるアスタチンを利用した小児がんに対する核医学療法の開発にも携わっております。
血液・造血幹細胞移植領域
当科は、世界に先駆けて2000年からがん免疫細胞療法としてHLA半合致造血幹細胞移植(ハプロ移植)の開発を行っており、小児再発難治性急性白血病に対するハプロ移植の国内の中心的機関です。全国の大学病院、がんセンターなどから多くの症例を受け入れ、高い評価を得ております。現在、我々が開発した移植方法の有効性、安全性を検証するために、第Ⅱ相臨床試験(研究代表 佐野秀樹)を開始しており、今後、基礎的な付随研究も含めて多くの成果が期待されます。
創薬・新薬開発に関する研究
小児がん、小児血液疾患に関する治験に積極的に参加いたします。
基礎研究
ハプロ移植と関連して、免疫反応に係るバイオマーカー探索、ドナー由来免疫細胞組成とアウトカム評価、再発に係るHLA欠失機序解明、ドナー由来間葉系幹細胞の個別化臨床応用を進めております。また、マウスモデルを使用した腫瘍内微小環境についての研究と新規がん免疫療法(同種反応性活性化CD4陽性T細胞療法)の実用化研究などを行っております。